・・・特に、生活資金の二百円削減は、日常生活に甚大に響き、物価高、米の配給遅延の悪条件、失業の増大等、どんな婦人の心にも、このままではやってゆけない切迫感を湧きたたせている。婦人立候補者の大部分は「政治と台所の直結」といい「女の問題は女で」といい・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・この生活苦にあえぎ、悪税・物価高にあえぎながら、日本人の大多数がなお無条件に純然たるブルジョア政党、反民主政党を第一位に支持しているのだとすれば、その政治に対する無知と無判断なならわしは救うにかたいと悲しむにちがいない。日本の民衆が、永年の・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・でいてはもったいないという云いあらわし方が多数を占めているけれど、大部分の主婦たちが今後長くつづけて働きたいという希望をもっており、収入のつかい道は子供のための貯金、家賃米代が主であってみれば、昨今の物価高につれそこに彼女たちの労働の現実の・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・どんな町でも村でも、目立って景気がよくなったと見えるところは十軒たらずで、のこった数百軒、数千軒の家は、軍需景気につれての物価高にじりりじりりとさいなまれはじめて来ていたのが実際であった。だから、戦争に便乗して、そのとき一時にしろ儲けたのは・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・税に苦しめられ、物価高に苦しめられ、やっと子供を教育しようと思っている母親に、今日の新聞の文相高瀬荘太郎の話はなんとひびいたでしょう。文相は、父兄からのつけとどけのない大学教授たちの生活難について語り、私立学校の入学にからむ父兄からのつけと・・・ 宮本百合子 「求め得られる幸福」
・・・家庭的な婦人が妻として求められているといえば、文学のことだの人生のことだのということはどうでもいいから、先ずスフの洗濯が上手で南京米をうまく炊いて、やりくりをともかく良人に苦労かけずにやってくれる妻、物価高の生活に耐えてくれる妻、そういう妻・・・ 宮本百合子 「若い世代の実際性」
・・・しかし、労働賃銀というものはあらゆる場合に、物価高に追付くことは不可能であるから、二つの間の開きは破局的に大きくなって来た。このようにして総ての基本的な面で人民の生活が破綻し始めるにつれて、政府はそれに対する真実の対策を立て得ないから、ひた・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫