・・・でこうて半間の猟人は或る日ひょんなこってララ狐つかまえた――皮はごか――やれ煮て食おか廻りかねたる智恵助に憂き目を見せてござるうちこすい狐はうまうまとばかしおおせて猟人をあちら、こちらと、引き廻す・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・ロシヤではツルゲーネフが「猟人日記」からひきつづき、その時代の若いロシヤの青年男女の姿を「その前夜」「処女地」などに描いた時代である。よりよい社会への願望、研究、行動が空想的であった前世紀の理想社会への憧れから科学的な社会主義の方向に高まり・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・ 例えば、ゴーリキイはその頃『社会科学のABC』という本を読んだのであったが、そこでは文化的生活の組織の中でインテリゲンツィアの役割が著者によって誇張されて書かれており、進歩的な浮浪人や猟人などの存在が著者によって恥かしめられているよう・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫