・・・日本の人民は、清廉潔白な内閣をもつことは困難であろうと予測している。日本の独占資本がより強力な独占資本の庇護のもとに自身の存在を維持しようとしているとき、その利益を代表する政権が、真に民主的であり得ないことは明瞭である。すべての悪質な大衆課・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・文字そのものさえ、貴族に独占されていた。現在の中国がそうである。一九一七年までのロシアの農民の生活がそうであった。土地を独占していた貴族は文化を独占したし、工場と機械とを所有しているものが今日では文化の機関をも独占している事実はもっとも分り・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・ 独占資本の機構が、時々刻々にひき出す尨大な金貨の山におしあげられながら、自分をファシストだと認めない国際ファシストたちは、MRAのために資金を出し惜しまない。MRAの去年の大会には、二百人の代表が各国から招待されたばかりでなく、五十二・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・愛すこと、結婚生活を営みたく思う心、そして父母とならんとする希望は、然しながら、百万長者の子供らだけが親の株で独占することを許されている天然資源ではないのである。 話はすこし飛んで、東京日日新聞でこの頃毎日東京ハイキングという特別読物を・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・ファシスト自身をさえおどろかしたこういう実例ばかりでなく、この頃になっては、民主的ということばは、全く独占資本的または隷属的本質とすりかえられはじめている。 一九四六年においてあれほど重大な課題であった新聞、出版、放送の民主化が、今日、・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・資本と生産手段を独占する者が地球の東西にわたって世界数億の人民の生存を支配する現代の社会機構が、人間を非人間的な部分品と化しつつある。フォードの能率生産というシステムなしに、フォード工場の労働者の、全生涯を部分品とする有名なメカニズムはあり・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・勤労者のいろいろな才能ののばされてゆくモメントも、資本主義社会の偶然性よりはひろい確かな公共的地盤をもっています。独占資本の独裁、商業主義の独裁のもとにおける文化の悲しむべき境遇について、ロマン・ロランが闘ったように、アインシュタインが闘い・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・ 小新聞の、大新聞への独占吸集が成功してから、大新聞の質は低下した。誰の目にも民主的と云えない政治的なかげをこくした。その政治性も、黄色新聞の性格である。自分の紙面に挑発や真実でない記事、事実をはっきりつきつめないで平気で社会に向っても・・・ 宮本百合子 「ジャーナリズムの航路」
・・・ どうせわたしたちは読むひまのない新聞といって、新聞の独占へ拍車をかけることは、この社会のすべての大資本、独占資本を援助することになる。新聞を読むひまのないほど、わたしたちの生活を追いつめている資本主義社会のひどい現象を助長することにな・・・ 宮本百合子 「主婦と新聞」
・・・もし或る特殊な思想をもって皇室を独占せんとするものがあれば、それは皇室の神聖を汚すものである。ひいては皇室の安泰を脅かすものである。なぜなら道の代表者を特殊思想の代表者と混同するような馬鹿者が出てくるからである。 小生はこの考えが老父の・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫