一、今年は珍しく豊年の秋ということで、粉ばかりの食卓にも一すじの明るさがあります。 一、けさも又早い時間にお話をすることになりました。が、この時間の放送に何か理屈っぽい、云ってみれば教養めいたお話をするということがいつ・・・ 宮本百合子 「朝の話」
・・・ 幸福になるために結婚する、結婚するために恋愛する、これはなんていう理屈っぽいような理屈にあわないことでしょう。わたしたちは互いに生きてゆく心のうえで気があうからこそ愛すのです。愛する人間同士だからこそ、結婚もしたいのです。幸福に生きて・・・ 宮本百合子 「生きるための恋愛」
・・・ 理屈っぽい母の会話 ね、一寸、おばあさんにきいてごらん、そんなこと云って泣いていいもんかどうか。 おや、この子は降りないよ、いくら降りろ降りろってっても降りないんだね。 ○二人のしわい四十すぎの独身男・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・つづいて、第二には、こういう風に、実際たたかいがはじまったからには、あんまり平和について理屈っぽいことなど語らないで、目立たず、少しでも特需景気の恩沢をうけるのが賢いことだ。そういう考えかたである。日本はどうなるのだろう。もう戦争だけは御免・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
出典:青空文庫