・・・過去の文学の上にも、戦争は甚大に影響している。日露戦争からヨーロッパ大戦までの間に、近代社会としての日本の社会機構が急速な膨脹をとげたように、その発展の雰囲気は、文学にも及ぼして、有産知識人の文学的活動は華々しく行われたのであった。その当時・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・このことと団体に被った被害の甚大であったこと、他の一面には若いその運動が指導方針の中に持っていた未熟なものとが絡み合って、プロレタリア文学者達の間に分裂と動揺とを来した。折から、かつてはプロレタリア文学運動の主唱者の一人であった林房雄氏等か・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・などが翻訳出版された時文学愛好者がアンドレ・ジイドなる名に払った注意は決して甚大なものではなかった。ジイドの日本における奇妙な繁栄は、丁度四五年前、プロレタリア文学の蒙った破壊前後、文学的混迷の時期に、一部の人によってジイドの混迷期の作品「・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・は、これまで現れた作家の報告文学とは全く異った戦場からの身をもっての経験の報告として一般に甚大な感銘を与えたものであった。この作家は、他の何人かの作家と共に応召して戦野に赴いた一人であり、応召までの文学的経験もあって、その「糞尿譚」は文芸春・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・為に、被害の甚大な二点を幸運にすりぬけて助かった。 ◎木村兄弟が来、長男の男が上の男の子を失ったと云う。 ◎笹川氏来 芝園橋の川に死体が並んでつかえて居、まるでひどい有様で日比谷にも始め死体が一列に並んで居た由。 ○看板に、火が・・・ 宮本百合子 「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」
・・・昨今の複雑な中国の動きの間に、芸術家としての彼女は更にどう成育して行くであろうかということに甚大な関心がもたれる。東は東、西は西と云う考えをもちつつも、バックは西の心で東を見ているのではない。彼女は、東の心で西へ向って、東は東と云っている。・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・その内訳は、反ファシズム戦争で甚大な消耗をしたソヴェトが七五〇万人、つまり半分の犠牲を出した。ドイツが第二位で二五〇万人。中国が二二〇万人。日本が中日事変を加えて一五〇万人。ところがアメリカは四九万人を死なしただけですんだ。アメリカの一年間・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・が出品され、マリアに甚大な感動を与えた。 サロンに入選しても、マリアはますます自分の画の不満を自覚してきびしく自分を鞭撻しているのに、家族の者がマリアの体を気づかう姑息な女々しい心遣いはマリアを立腹させるばかりである。マリアの耳では目醒・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
・・・ヴィタミンの発見が人類にもたらした福祉は甚大であった。今日の婦人の科学性が、せっかく到達したその発見の意義を、現実の生活で抹殺したりしてはなるまいと思うのである。 二 家賃 おそろしい住宅難の折から、きのうきょ・・・ 宮本百合子 「私の感想」
出典:青空文庫