・・・ちょうど生埋めにせられた人が光明を求め空気を求めると同じ事でございます。 わたくしは突然今の夫を棄てて、パリイへ出て、昔あなたのおいでになる日の午後を待っていたように、パリイであなたが折々おいで下さるのを楽しみにして暮らそうと思い立ちま・・・ 著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外 「田舎」
・・・善かさもないものはただちに悪と、固定された、ただふたすじのみちが、もし、特定のものの便宜のために日本の人民の理性の上に敷設されるなら、それは、人を生き埋めにした上につくられた滑走路のようなものになるだろう。社会の発展の過程にあらわれる善と悪・・・ 宮本百合子 「地球はまわる」
出典:青空文庫