・・・ 折角そういう位置にありながら、専門作家が清算しようと努力している欠点から発足するというようなことがあっていいものか! 現在、ソヴェト同盟の全社会生活は、生産経済計画が根柢となって動いている。文学だけが、それについて無関係だなどとい・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・全日本の私たち、すべての人間が、これまでいく久しい歳月の間、民主日本の発足とともに、子供に話してやることさえも出来ないような片手落ちに書かれた日本歴史で養われて来ていたのであったという深刻な反省をもとめられるのである。 かえりみれば、こ・・・ 宮本百合子 「『くにのあゆみ』について」
・・・と片づけきれない人間の心から発足するのが文学の一つの本質であったと思う。「我々の魂の中にもし何か価値あるものがあるとしたら、それは如何に他人よりももっと激しく燃焼したかにあるのだ」とジイドの文句が引かれていても、主人公の男がいい家庭と云・・・ 宮本百合子 「「結婚の生態」」
・・・ しかしながら、散文精神の発足にやはり時代のかげが落ちていて、芸術が現実へ働きかけてゆく面からそれが云われず、どちらかと云うと、現実の反映としての小説をより見たことは、散文精神が、市井風俗小説を多産するに至ったことで裏づけられている。・・・ 宮本百合子 「現実と文学」
・・・そして、その自然な経過として、先ず身近な地方自治体への選挙、被選挙権の行使から、彼女たちの政治的発足をしている。イギリスでは一八六九年アメリカも同じ年。オーストラリアは一八九二年婦人の公民権が認められた。第一次欧州大戦の終結した一九一八年、・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・ですから、アメリカにおける民主主義はアメリカができる初めから発足いたしました。だからそういう意味においてアメリカは日本よりも民主主義の経験の深い先へ進んだ国ですけれども、しかし、それならば社会の関係はどの程度まで本当にみなの人が幸福に暮らせ・・・ 宮本百合子 「幸福の建設」
・・・ソヴェト芸術の五ヵ年計画は、先ずその自己批判をもって発足したのであった。 二つのスローガン ――「大衆の中へ!」 一九二八年の末から一九二九年にかけて、ソヴェトの芸術は、「大衆の中へ!」というスローガンをか・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・があらわれている。或いはあれとこれとの間にある距離があらわれている。鎌倉で「平和を守る会」が発足した時、川端康成のよんだ平和宣言は人々の心を打った。「絵志野」とあの文章との間には、それぞれに偽りでないこの作家の一つの情感が貫き流れている。け・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・必要に応じて日本の文化を守る会の調査団が派遣される。発足したばかりの会ではあるが、日本の民主的文化の確立と平和のためにこの会の活動が期待される部面は広汎である。 五、学生の抗議。 今議会ですべての公定価格を七割値上げした政府は官・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・ 日本が民主日本として新しく発足しようとし、こうしてまた再び『働く婦人』をみなさんにおくれるようになったのは、何とうれしいことでしょう。私たちの此頃は、重大な問題でぎっしりです。私たちは、自分たちの生活を一歩一歩と幸福に近づけるために、・・・ 宮本百合子 「再刊の言葉」
出典:青空文庫