・・・一種の作品目録なのである。その便宜の為にも、曖昧な片仮名はやめて、英語は英語のままにして行った方がよかろうと思う。 先ず本国の愛蘭より却って米国に於て早く認められて今は一部の偶像のように成っている Lord Dunsany に就て書・・・ 宮本百合子 「最近悦ばれているものから」
・・・エム・オー・エス・ペー・エス劇場がどんなによい上演目録をもってたとしてもそうちょいちょいは行けないではないか。ソヴェトには少くとも一時に五千人から一万人入れる劇場が必要だ。我々はアメリカの抜目ない興行主のやり口をソヴェト式に転用しなければな・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・ 私も四五通の手紙を書き、フランシス・エドワーズの目録を見る。素晴らしそうなのが沢山あり、特にバートンのアラビアンナイトの原版、小画風の插画のあるキング・アーサー物語の新版がひどく興味をそそった。日夏耿之介氏がアラビアンナイトを訳される・・・ 宮本百合子 「静かな日曜」
・・・彼は、或は彼等は、神国日本の男子にとって最も無邪気で自然であった思索形式そのままを、民族精神のよき標本のように、書目録の上に現しているのである。 彼等は、第一門に敬神、釈教を区分した。第二門に政書、職官、礼度、奏議、教育。第三門に天文、・・・ 宮本百合子 「蠹魚」
・・・ 詩の方面では、国鉄の詩人達が職場の詩人としての成果をしめして、ますます発展しようとしていることや、勤労者によって書かれた戯曲が自立劇団の上演目録に登場しはじめたことなどを見逃すことはできません。古い天皇制的な祝日が民主的な人民の祝日に・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・その時の上演目録はコムソモールのコンムーナを取り扱った陽気なオペレットと五ヵ年計画に於ける農場の集団化を主題としたドラマだった。オペレットの事だから筋は割合他愛の無い物だし、歌がどっさり這入り陽気にやっているらしくは見えるが全体に漲るユーモ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト「劇場労働青年」」
・・・上演目録内容の広汎で直接な社会性から云っても、新様式の熱心な探究の点でも、注目すべきはこれらの劇団だ。 それにソヴェトには、夥しい数の移動劇団がある。モスクワにだけでも四十足らずある。大きい労働者クラブには所属劇団がある。小さいクラブ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ ソヴェト・ロシア文部省の芸術部がそれを統轄して、演劇の上演目録審査委員会というものがある。そうしてシーズンが来て――秋から翌年春までのそのシーズンに、どこの劇場ではどれだけの上演目録をどういう順序でやって行くということをそこで決定し、・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・江戸で出した国書の別幅に十一色の目録があったが、本書とは墨色が相違していたそうである。 この日に家康は翠色の装束をして、上壇に畳を二帖敷かせた上に、暈繝の錦の茵を重ねて着座した。使は下段に進んで、二度半の拝をして、右から左へ三人並んだ。・・・ 森鴎外 「佐橋甚五郎」
・・・ 私は始て気が附いて、承塵に貼り出してある余興の目録を見た。不折まがいの奇抜な字で、余興と題した次に、赤穂義士討入と書いて、その下に辟邪軒秋水と注してある。 秋水の名は私も聞いていた。電車の中の広告にも、武士道の鼓吹者、浪界の泰斗と・・・ 森鴎外 「余興」
出典:青空文庫