・・・それ以前、小林多喜二を記念する賞があったが、それは広汎な影響を持つ間なくして消され、一九三三、三四年ごろから芥川賞、直木賞、文芸懇話会賞等が出来た。丁度、一部の作家が文芸復興ということを唱え出し、而もそれには現実の根拠が薄いので一向実際の文・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・この三四年来、芥川賞、直木賞、文芸懇話会賞等々夥しい賞が懸けられ新人を招いている。ところで今日までこれらの賞を受けた人々は果して本質的な新人であったろうか。賞を与える側がその新人でないことに就いて消極的な言葉を添える有様であった。或る賞のた・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・文芸春秋社主催の芥川賞、直木賞。文学界賞、三田文学賞、池谷信三郎賞等。やはりこれも時代の特徴の一つとして数えられることは、これらの「賞」を与えられた石川達三、高見順、石川淳、太宰治、衣巻省三その他多くの作家が、言葉どおりの意味での新進ではな・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫