・・・岸田国士、福田恆存、三島由紀夫、木下順二そのほか相当の数の文学者たちの集団である。小説や評論の現在の状態に感じられている一種のゆきづまりを、「もっと広く、窓を外に開こうとする要求がみられているし」「芝居が文学の広い領域から栄養を摂らなければ・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・合宿先である福田屋旅館の板前さんまでただごとならぬはりきりかたで、選手のかたは一日一里以上も泳ぐのですから、食事についても十分気をつけてと、もの惜しみしない談話が新聞にのっている。その記事を四、五人の男が珍しそうに大切そうに顔をさしのばして・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
・・・例えば有名な中島湘煙、福田英子などという当時二十歳前後であった婦人政治家たちが、男女平等を唱えて日本全国を遊説した。大阪などでは少女が、政壇演説に出席したという話さえも伝っている。岡山には女子親睦会という政治結社が出来てあったし、仙台には女・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・舟引地町の紙屋と云う家に泊って、町年寄福田某に尋人の事を頼んだ。ここで聞けば、勧善寺の客僧はいよいよ敵らしく思われる。それは紀州産のもので、何か人目を憚るわけがあると云って、門外不出で暮していると云うのである。親切な町年寄は、若し取り逃がし・・・ 森鴎外 「護持院原の敵討」
出典:青空文庫