・・・ 小さい娘に母は品川の伯父さんが、明治の日本へ初めて近代の皮革事業をもたらした見識を賞讚してきかせた。「謙吉さんが生きていてくれて、品川の伯父さんと一緒だったら、お母さまもどんなに安心だったかしれないのにね」とも云った。 謙・・・ 宮本百合子 「白藤」
・・・しかも、本質における逆流は時に称讚、拍手、とりまきの形で作家の身辺にあらわれる時代においておやである。〔一九三七年八月〕 宮本百合子 「数言の補足」
・・・ 〔二行分空白〕と云うやさしい女性らしい哥の句をくりかえしながら人々は二人の仲をいろいろに想像しながら又、この栄の有る二人をねたく思いうらやましく思いながら一寸は賞讚の声を止めなかった。沢山のうたはその出来の順に下枝から段々上枝・・・ 宮本百合子 「錦木」
・・・を加えた。ある一部のブルジョア・ジャーナリストは「青年」を称讚し、さすがは林房雄である。構想雄大で行文はいわゆるプロレタリア的でない清新の美に満ちていると、さながらその社会的根拠とともに創造性をも喪失したブルジョア文学の陣営内に一人の精力的・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・ 祖母は殆ど毎朝、新しい賞讚の言葉を発見した。そしてそれが小さいゴーリキイの心に快い緊張をよび醒した。言葉の流れる温い美しさ、真実のこもった単純な心から賞讚にじっと聴きいるのは心持よかった。 ゴーリキイは「非常に早くから祖父はある神・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・めは一緒に行ってたのに やっぱり家のことや何かでやめてしまったのが幾人もある、――ちゃんと四年をしまうのは 何%位ある――たった二十五%――ルナチャルスキーがラブ・ファクを終った青年は最も賞讚さるべき勇士だと云った これは本当。・・・ 宮本百合子 「無題(七)」
出典:青空文庫