・・・スペインのこんにちの燃え立つ階級間の争闘を、柳沢健氏が、その民族の持っている一本気で純朴で誠実な徳性によって、惨虐性にまで進められてあるのだと説明していることだけにあきたりないと同じように。思想的・文学的な内容において情熱という言葉が日本に・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・野を愛し、部族の生活を思い出し単純に、純朴にと一方の心は流れ囁く。而も、一方は無限の視覚、聴覚、味覚を以て細かく 細かく、鋭く 鋭くと生存を分解する、又組立てる。 考 創作をするにも種々な動機が・・・ 宮本百合子 「初夏(一九二二年)」
・・・ソヴェト市民の淳朴な感情には、民族的偏見というものがなくて、文明的な先進国として、資本主義国の文化にたいするものめずらしさや、判断を加えることを遠慮する感情があった、最も単純な列として、女のひとたちのフランス白粉や靴下への愛好があったように・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
出典:青空文庫