・・・第五章 結語、西欧の戦争文学との比較、戦争文学の困難 以上のほか、武者小路実篤の「或る青年の夢」、芥川龍之介の「将軍」のもっと詳細な検討、細田民樹の「ある兵卒の記録」について、この三つの作品は、いずれも大正年間になって出され・・・ 黒島伝治 「明治の戦争文学」
・・・ 結語 科学と文学という題のもとに考察さるべき項目はなお多数であろうが、まずこのへんで擱筆して余は他の機会に譲ることとする。 緒論で断わってあるとおり、以上の所説は、特殊な歴史と環境とをもった一私人の一私見に過ぎ・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・ 結語 以上の所説を要約すると、日本の自然界が空間的にも時間的にも複雑多様であり、それが住民に無限の恩恵を授けると同時にまた不可抗な威力をもって彼らを支配する、その結果として彼らはこの自然に服従することによってその恩・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・等の結語を用いる例は万葉にもあるをや。二本の梅に遅速を愛すかな麓なる我蕎麦存す野分かなの「愛すかな」「存す野分」の連続のごとき夏山や京尽し飛ぶ鷺一つの「京尽し飛ぶ」の連続のごとき蘭夕狐のくれし奇楠をんの「・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・ だが、どうして、いわゆるおとぎ話、必ず教訓的結語をもった短いものがたりが、主としてアレゴリーの形をとられて来たんだろうか? どうも、作者が一般的な人間の貪慾とか浅慮とかいうものを抽象して来て、欲ばるとこんな目に会うぞという教訓を与えよ・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
・・・ これに対してラップの指導部は討論を持続しながら、結語はなかなか与えなかった。いろいろの問題がそこに含まれているからである。 第一、ソヴェトのプロレタリア作家たちが、一時的に農村や工場へ出かけて行って観察し、材料を集めて来るというよ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・という言葉を結語として「われわれの主張する全的人間性の観念の上に立った個人主義」を、日本におけるプロレタリア文学運動の新段階と直接間接関係あるものとして提出している。ジイドが今日のソヴェト社会の現実を念頭において意味したコムミニスト的個人主・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
出典:青空文庫