・・・多数の研究者のうちで、何かしら一つの仕事に成功して学位を得る人の数が研究者全体の数に対する統計的比率を不変と仮定しても、研究者の総数がN倍になれば博士の数もN倍になる。のみならず、競争が劇しくなるために研究者の努力が劇しくなればこの比率も増・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・それでもしこの場合の数 N(CCC) を現在の表中の火山の総数に等しいと取れば、これは結果のRを少なくするほうの取り方であるからこれで得られたRが大きければ、ほんとうはもっと大きい事になる。それでかりにそうしてみる。さすればこの場合 N(C・・・ 寺田寅彦 「火山の名について」
・・・下賤の者にこの災が多いというのは統計の結果でもないから問題にならないが、しかし下賤の者の総数が高貴な者の総数より多いとすれば、それだけでもこの事は当然である。その上にまた下賤のものが脚部を露出して歩く機会が多いとすればなおさらの事で・・・ 寺田寅彦 「化け物の進化」
・・・この問題に的確に答えるためには、勿論まず毒薬の種類を仮定した上で、その極量を推定し、また一人が一日に飲む水の量や、井戸水の平均全量や、市中の井戸の総数や、そういうものの概略な数値を知らなければならない。しかし、いわゆる科学的常識というものか・・・ 寺田寅彦 「流言蜚語」
・・・、その方法を通じて反映された今日の日本の現実は、どんなに国内の保守の権力が根づよく、組織的で、日本が民主化して行こうとする進路をふさいでいるかという事実が、外人記者の観察にもはっきり語られたのである。総数四六四名の代議士が、各自所属している・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・婦人有権者の総数は二千百六十八万人あって、その数は男子有権者よりも四十五万名多い。婦人は自覚、向上して、棄権しないように、という忠言もあちらこちらで聞かれる。けれども、率直にそれら二千百六十八万人の婦人の感想を求めたら、彼女たちの何割が果し・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・日本では全国労働者総数の五十一パーセント、女が占めている。けれどもそのおびただしい女のほとんど大多数は男の半額の賃銀で搾取されているだけで、選挙権などは持ってないのだ。 前列の机に両肱かけて坐っていた若い女が、 ――御覧! よこ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・だんだん小きざみに、部分的に、私たちには総数が一目でのみこめない形で発表された。ナチス・ドイツでは婦人に黒衣を着せなかった。日本ではそういう禁止は出さなかったが、果して生きているやら、死んだものやらはっきりしなくて、実に多くの妻たちが黒服も・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・労働者一人が大体十五の汲出櫓を持っているということである。労働者総数五万人、党員は千二百人。平均収入はその時分八時間で八十留。重い労働には六時間で牛乳が支給される。後でわかったことであるがドン・バスの炭坑でも、条件のわるい坑内労働はこの六時・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・それから国内の労働者総数を調べ、どの生産は今年どれだけ拡張するから、何人、どういう技術をもった労働者が新しく必要かということを決定する。百十三万何千人は、ソヴェト国内の産業が十分発達してないため、あまった人数だった。同じプロレタリアートであ・・・ 宮本百合子 「なぜソヴェト同盟に失業がないか?」
出典:青空文庫