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・・・でもって同君の名を知り伎倆を知り其執筆の苦心の話をも聞知ったのでありました。 当時所謂言文一致体の文章と云うものは専ら山田美妙君の努力によって支えられて居たような勢で有りましたが、其の文章の組織や色彩が余り異様であったために、そして又言・・・
幸田露伴
「言語体の文章と浮雲」
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・・・ある時はわが大学に在りしことを聞知りてか、学士博士などいう人々三文の価なしということしたり顔に弁じぬ。さすがにことわりなきにもあらねど、これにてわれを傷けんとおもうは抑迷ならずや。おりおり詩歌など吟ずるを聞くに皆訛れり。おもうにヰルヘルム、・・・
森鴎外
「みちの記」