よもぎう【蓬生】
ヨモギが一面に生え茂って荒れ果てている所。《季 春》「—にかたまる嵯峨の道しるべ/野風呂」 源氏物語第15巻の巻名。光源氏、28歳から29歳。源氏が生活に困っていた末摘花を思い出し、二条東院に引き取って世話をすることなどを描く。
よもぎがかど【蓬が門】
「よもぎのかど」に同じ。
よもぎがしま【蓬が島】
蓬莱山 (ほうらいさん) のこと。「真にや—に通ふらむ鶴に乗るてふ人に問はばや」〈堀河百首・雑〉 日本の異称。〈日葡〉
よもぎがそま【蓬が杣】
ヨモギが生い茂って杣山 (そまやま) のようになった所。また、自分の家をへりくだっていう語。「鳴けや鳴け—のきりぎりす過ぎゆく秋はげにぞ悲しき」〈後拾遺・秋上〉
よもぎがほら【蓬が洞】
仙洞御所 (せんとうごしょ) の異称。「世を照らす—の月かげは秋つ島根のほかも曇らじ」〈続古今・賀〉
よもぎぎく【艾菊】
キク科の多年草。高さ約70センチ。全体に強い臭気があり、葉は羽状に深く切れ込む。夏、黄色の花を多数つける。ヨーロッパ・シベリアに分布。タンジー。
よもぎのあと【蓬の跡】
灸 (きゅう) をすえたあと。「朝露のひるまはいつぞ秋風に—も思ひ乱れぬ」〈隆信集〉
よもぎのかど【蓬の門】
ヨモギが生い茂って荒れ果てた門。また、ヨモギで屋根を葺 (ふ) いた粗末な門。「宿見れば—もさしながらあるべき物を思ひけむやぞ」〈かげろふ・中〉
よもぎのかみ【蓬の髪】
《「蓬髪 (ほうはつ) 」を訓読みにした語》ヨモギのように、ほつれ乱れた髪。「いかにせん—の秋の霜身はいたづらにふりまさりつつ」〈新撰六帖・五〉
よもぎのまど【蓬の窓】
ヨモギの茂っている荒れ果てた家の窓。「音はして岩にたばしる霰こそ—の友になりけれ」〈夫木・三一〉