・・・即ち、ブルジョアジーを打倒し、収奪し、武装解除するために、プロレタリアを武装させること。プロレタリアートは、たゞブルジョアジーを武装解除した後にのみ、その世界史的見地に叛くことなく、あらゆる武器を塵芥の山に投げ棄てることが出来る。そしてプロ・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・一刻も早く修理したくて、まだ空襲警報が解除されていないのに、油紙を切って、こわれた跡に張りつけましたが、汚い裏側のほうを外に向け、きれいなほうを内に向けて張ったので、妻は顔をしかめて、あたしがあとで致しますのに、あべこべですよ、それは、と言・・・ 太宰治 「春」
・・・武装解除した日本として、最後の正義として絶対平和のまもりてとして立つ決心をしているとお思いになりますか? わたしは、これに対する答えを、みなさんの言葉として伺おうと思いません。ただ、どうぞ、あなたがたの若く感じやすい心が、それに対して何と感・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・それから皆さんのお父さんも、徴用から解除され、或は復員になって家庭にお帰りになった方もあるでしょう。しかしまた決して二度と帰らないお父さんを持った方達も少くないでしょう。また帰っていらしても、戦争のために不具になって、娘としてまた妹としてそ・・・ 宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
・・・そのこころに通じるものがあるようで、火野葦平、林房雄、今日出海、上田広、岩田豊雄など今回戦争協力による追放から解除された諸氏に共通な感懐でもあろうか。 東京新聞にのった火野の文章のどこの行をさがしても、「昔にかえった」出版界の事情「老舗・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・プロレタリア文学運動における同伴者的作家というものを、先に述べた規準によって正当に理解しないならば、この戦争と革命とへの時期において、日本のプロレタリア文学運動を、敵の前に武装解除させるところの、明らかな右翼的逸脱への危険を示すものとなるで・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・当時のドイツにみちていた男女のあらゆる種類の不満と悲しみを、武装解除させられたドイツの軍人たちの傷けられた名誉心と結合させ、ドイツ民族の名誉恢復、復讐の期待というものを、不幸なドイツの人々の心にしみこませて行ったのが、第一次大戦のときに生れ・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・だが石川達三、風にそよぐ葦〔以下数行欠〕〔欄外に〕一方に追放解除の精神というものがある。レッドパージで全国の学生がたたかっていた十月 一万九百人の戦争協力者が解除された。○十一月号の「人間」 座談会・・・ 宮本百合子 「東大での話の原稿」
・・・急速な武装解除が行われた。九月〔二〕日にミズリー艦上で降伏文書調印が行われた。十月四日、連合軍総司令部の指令によって、治安維持法の撤廃、政治犯人の釈放、言論、出版、集会の自由が命令された。十月十〔四〕日、宮本が網走刑務所から解放され・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ 終戦と同時に、全軍隊の武装解除が行われた。軍需産業は直ちに閉鎖された。軍人は復員することになり、軍需産業に動員されていた五百五十万人の労務員は、殆んど全部が一旦は職場を失った。家々には、長い間待たれていた良人や父兄たちの姿が動くように・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫