・・・またバルザック、ツルゲーネフ、チェーホフ、ジイドの全集、ついにシェストフの全集まで出版されるらしいが、それはどういう社会的情勢を反映するものであったかということにも言及すべきである。しかし今は時間がなくなった。 また、何人かの婦人作家を・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・とを報道した。林弁護人の弁論とそのこととを合わせて考えるとき果して人々は何かの疑問にうたれないだろうか。 飯田被告は第二回公判の法廷で「特に残念だと思うのは証人関係です」と言及している。「本当のことをいうと偽証だといってやられる。真実を・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・この辞典において、リアリズムに連関して現れている芸術家はゾラ、フローベル、モネ、セザンヌ等であり、しかも編者は明瞭な言葉でリアリズムの階級性にも言及している。「我々マルクス主義者の云うリアリズムをはき違えて、あたかもそれが十九世紀後半の写実・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ しかし、言及されているプロレタリア文学の取材、様式の固定化という批判は、そのままとりあげよう。 けれども、われわれのところではその解釈と、発展を求めてゆく道の発見のしかたが、筆者とはまるで違う。まるで反対である。 大会は、作品・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・それであるからこそ、アカデミーについて言及する時、人々の顔には複雑な表情が浮ばざるを得ないのである。 松本学氏によって「文芸懇話会」がつくられていた間、文芸懇話会賞というものが出されていた。この間この組織が実質に於てより大規模な上述の諸・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
・・・これは最初に言及したルネッサンスとしての意義にも関係しているであろう。同じ兼良が将軍義尚の母、すなわち義政夫人の日野富子のために書いた『小夜のねざめ』には、このことが一層明白に現われている。この書もこの後の時代に広く読まれたようであるが、そ・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・先生は親切を陰でする、そうして顔を合わせた時にその親切について言及せられることを欲しない。先生にとっては、最も重大なことはただ黙々の内に、瞳と瞳との一瞬の交叉の内に通ぜらるべきであった。従って先生は対話の場合かなり無遠慮に露骨に突っ込んで来・・・ 和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
・・・能についてほとんど知るところのない自分が能の様式に言及するのははなはだ恐縮であるが、素人にもはっきりと見えるあの歩き方だけを取って考えても右のことは明らかである。能の役者は足を水平にしたまま擦って前に出し、踏みしめる場所まで動かしてから急に・・・ 和辻哲郎 「能面の様式」
出典:青空文庫