・・・女性によって書かれたこの二種の本は、業績の相異とか資質の詮索とかを超えて結局は人類がその時代に潜められている様々の可能を実現し、花咲き実らすためには、どのような良心と、精励とが生活の全面に求められているかということについて、男性の生涯へも直・・・ 宮本百合子 「はるかな道」
・・・犯した誤謬を、率直に認め、失敗の原因を根こそぎ詮索して、その経験をあらいざらい次の運動の中で発達のためのこやしにすることだ。 六月の『中央公論』に長谷川如是閑が文芸時評を書いている。プロレタリア文学についての意見の中で、取材、形式の固定・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・一天万乗の君の観念はつくられ、天皇の特権を擁護するために全力をつくした旧憲法が人民階層のどんな詮索もうけずに発布された。当時の笑い草に、憲法発布ときいた江戸っ子が、何でエ絹布のはっぴだって、笑わせるねえ、はっぴは木綿にきまったもんだ! と啖・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・はっきりそれを言葉として云うか云わぬかは別として、人生の目的という観念そのものに詮索の目を向けている。怒らず働いて、生活の不安がなくなるものならば、どうして少年少女の時代から怒らず工場でよく働きつづけた今日の青年達が、弱体であり、知能が低い・・・ 宮本百合子 「私たちの社会生物学」
出典:青空文庫