・・・「私が請合う、大丈夫だ。」「まあ。」「ね、そのままの細い翡翠じゃあないか。琅ろうかんの珠だよ。――小松山の神さんか、竜神が、姉さんへのたまものなんだよ。」 ここにも飛交う螽の翠に。――「いや、松葉が光る、白金に相違ない。・・・ 泉鏡花 「小春の狐」
・・・お前さえ還る気になりゃ、あの人あいつ何時でもひき取ってくれらあ、それだけは俺が受合う。悪いことは言わねえから、そうしねえ、よ。」「知らない! こんな恥しい目に遭って、私ゃ人にも顔向けできない、死んでやる!」と言って、女房は泣伏してしまっ・・・ 小栗風葉 「世間師」
・・・ 骨に故障が有るちゅうじゃなし、請合うて助かる。貴様は仕合ぞ、命を拾うたちゅうもんじゃぞ! 骨にも動脈にも触れちょらん。如何して此三昼夜ばッか活ちょったか? 何を食うちょったか?」「何も食いません。」「水は飲まんじゃったか?」「・・・ 著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷 「四日間」
・・・った女であるか、ないか、そんなことはわからないけれど、今ではお前を大切にして立派なお神さんになっているのだから追い出すほどのことはあるまい、見たところでも親方と怪しいという様子もないようだ、それは私が請け合うと申しますと、藤吉『今でも怪しい・・・ 国木田独歩 「女難」
・・・会杜の徽章の附いた帽を被って、辻々に立っていて、手紙を市内へ届けることでも、途中で買って邪魔になるものを自宅へ持って帰らせる事でも、何でも受け合うのが伝便である。手紙や品物と引換に、会社の印の据わっている紙切をくれる。存外間違はないのである・・・ 森鴎外 「独身」
出典:青空文庫