はしがき この小冊子は、明治二十七年七月相州箱根駅において開設せられしキリスト教徒第六夏期学校において述べし余の講話を、同校委員諸子の承諾を得てここに印刷に附せしものなり。 事、キリスト教と学生とにかんすること多し、しかれど・・・ 内村鑑三 「後世への最大遺物」
・・・一般に科学というものを知らなかった上古の人間も学としての形態の充分ととのっていない支那や日本の諸子百家の教えも、また文字なき田夫野人の世渡りの法にも倫理的関心と探究と実践とはある。しかし現代に生を享けて、しかも学徒としての境遇におかれたイン・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・かようにしていって、科学は絶対のものでない、なおいくらも研究の余地はある、諸子の研究を待っているという風にしたいと思うのである。ただ一つ児童に誤解を起させてはならぬ事がある。それは新しい研究という事はいくらも出来るが、しかしそれをするには現・・・ 寺田寅彦 「研究的態度の養成」
今ここに会社を立てて義塾を創め、同志諸子、相ともに講究切磋し、もって洋学に従事するや、事、もと私にあらず、広くこれを世に公にし、士民を問わずいやしくも志あるものをして来学せしめんを欲するなり。 そもそも洋学のよって興り・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾の記」
・・・殊にこの頃では伊藤、河東、高浜その他の諸子を煩わして一日替りに看病に来てもらうような始末になったので、病人の苦しいことは今更いうまでもないが、看病人の苦しさは一通りでないということを想像すればするほど気の毒で堪らなくなる。勿論看病のしかたは・・・ 正岡子規 「病牀苦語」
・・・漢書之部も、第一門が四書、五経や孝経、儒家、諸子、西教等を包括している。 今日の図書館員の目から見れば、此那大ざっぱな、まとまりのない目録は稚拙の極で、小規模の箇人蒐集をまとめる役にも立たないように思えるに違いない。けれども、私にこの部・・・ 宮本百合子 「蠹魚」
出典:青空文庫