・・・市の廓清も議院の改造も出来る。浮世を茶にせずとも自分の気に入るように革新出来ぬ事は無い。文人の生活は昔とは大に違っている。今日では何も昔のように社会の落伍者、敗北者、日蔭者と肩身を狭く謙り下らずとも、公々然として濶歩し得る。今日の文人は最早・・・ 内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
・・・「既に金沢の方で、学校の図書室を預って、多少その方の経験もあるが、何となく僕の趣味に適するんだね――あの議院に附属した大な図書館でもあると、一つ行って見たいと思うんだが――」 原は口髭を捻りながら笑った。 茶店の片隅には四五人の・・・ 島崎藤村 「並木」
・・・それほどでなくても、たとえば議院新築落成式の日に、過去の議会におけるいろいろな故人の演説の断片を聞くことができても多少の感慨はあるであろう。 もしも、レコードと現場の放送との継ぎ目を自由に、ちょうどフィルムをつなぐようにつなぐことができ・・・ 寺田寅彦 「ラジオ・モンタージュ」
・・・ 数年前英国にて下院を改革し、下等の人民までも議院の事に参与するの法を定めたりしに、その時にあたりて識者の考に、今後議院の権は役夫・職人の手に帰し、あるいは害あるべしといい、あるいは益あるべしといい、議論喋々たりしが、その成跡を見れば、・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
出典:青空文庫