・・・ ある家庭で歳末に令嬢二人母君から輪飾りに裏白とゆずり葉と御幣を結び付ける仕事を命ぜられて珍しく神妙にめったにはしない「うちの用」をしていた。裏白やゆずり葉を輪の表に縛り付けるか裏につけるかを議論していた。そのうちに妹の方が「こんなもの・・・ 寺田寅彦 「雑記帳より(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・白いふーわりとした服をつけた女の児が、頭に春の花の輪飾りをのせて、嬉しそうにリンゴでお手玉をとっている絵ハガキに、お手玉うたのようなものを書いてくれたのもあった。二羽の鵞鳥の絵物語の本に、一つ一つ口調のいい翻訳をつけて、オヤマアこれは鵞鳥さ・・・ 宮本百合子 「父の手紙」
出典:青空文庫