・・・勉強と農耕。海の幸。」等である。幕あく。舞台しばらく空虚。突然、荒い足音がして、「叱るんじゃない。聞きたい事があるんだ。泣かなくてもいい。」などという声と共に、上手のドアをあけ、国民学校教師、野中弥一が、ひとりの・・・ 太宰治 「春の枯葉」
・・・ 地理学のほうでは人口の分布や農耕範囲の問題などについて、興味ある物理学的統計学的研究をしている少壮学者もある。これはわれわれには非常におもしろく有益な試みであると思われるが、これも「人間のことに物理的方法に適用しない」という通有の誤解・・・ 寺田寅彦 「物質群として見た動物群」
・・・洞窟に木の皮や獣の皮をまとって生活していた原始生活から発展して来て、ただその場かぎりの餌としてたべてしまうよりも多い計画的な狩猟や農耕がはじまり、交換が行われるようになると、彼らは、自分たちの、忘れるという意識の生理現象に対して、意識をめざ・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・しかるにわが国では、そういう古い伝統が、定住農耕生活の始まった弥生式文化の時代に、一度すっかりと振り捨てられたように見える。土器の形も、模様も、怪奇性を脱して非常に簡素になった。人物や動物の造形は、銅鐸や土器の表面に描かれた線描において現わ・・・ 和辻哲郎 「人物埴輪の眼」
出典:青空文庫