・・・ 素人の文学ということが評価にのぼる場合、そこには、文学の技術に於てこそ素人であれ、生活人としての敏感さ、文学以外の専門における透徹性或はその社会的行動への内省においては、決してマイナスのもののないことを、それどころか生活的な意味の明瞭・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・ダヌンツィオが飛行機で飛びまわってヒロイズムを発揮したような時代からこのかた、今日の世界の動きとその間に生きる作家の気持とは、いか程多角的に、観察と沈着と現実に対する透徹した洞察力を求めるところへ進んで来ていることであろう。吉川氏でさえその・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・『心』において極度まで押しつめられた生死の問題は、右の無頓着が著しくなるにつれて、一種透徹な趣を帯びながら、静かに心の底に沈んだ。『硝子戸の中』がその消息を語っている。一二 しかし人生観のいかんにかかわらず、先生の内の「創作・・・ 和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
出典:青空文庫