・・・昨年より一パーセント減って、金額で二五億ルーブル減である。そして社会文化費は三三一億ルーブル増している。この一九四八年度のソヴェト国家予算が発表されたときAP通信は、「ソヴェトの新予算は、世界の平和にとって、これまでソヴェトの首脳部の声明の・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・ 本屋は早速見つくろって幾通りかの本をその書架につめたら、金額は四十円を超過して二百円ばかりかかった。しかし、その新邸の主人は、これで大層立派になったと云ってよろこんだそうだ。 本がよく売れるという昨今の文化のありようには、こんな見・・・ 宮本百合子 「見つくろい」
・・・満州の戦のことばっかり書いて、慰問金寄附の金額がさながら浅草観音の寄進帳のようにズラリとすられている。世界には満蒙事件のほかにいろいろ大切なことが起っているでしょう。日本の中にだって手近いところで市電の大首キリが迫っているし、八幡製鉄所に千・・・ 宮本百合子 「「モダン猿蟹合戦」」
・・・ 一銭という銭の単位は、数千万の金額の土台である。何百億という狂気めいた予算が丸のみされて、戦争は進められたのだが、その数億にしろ、現実には一銭なしにはじまらないのである。字面を万単位にしたいかめしい政府の計算にしろ一円は百銭である、と・・・ 宮本百合子 「郵便切手」
・・・そして、その金額についてはひとしく沈黙が守られている。そういう基本的なところをまかせている生活態度について深く考えるということもないらしく、自分だけでは解決されているのだから、働く婦人として受ける報酬という社会的なこととして、それが足りなけ・・・ 宮本百合子 「若い娘の倫理」
・・・官庁などの月給は、今日の下駄一足、足袋一足に近い金額のまま据置かれた。特別の技能を持たず、収入の途を図れない人々が落ちて行くところは闇商売であり、賭博である。 戦時中、あんなに「愛国心」に愬え「非常時の国民的良心」に愬え「新兵器としての・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・その、横罫の厚い紙の面には、きっと寄附金の受取りに必要な、金額や会の主だった人の名や目的が刷って有るのでしょう。「君は、なかなか立派に話しますね、大きく成ったら議員に成る積りですか、どれ」 集っていた人の中で、丁度其少年のお祖父さん・・・ 宮本百合子 「私の見た米国の少年」
出典:青空文庫