錦を飾る
美しい着物を着る。転じて、成功して美しく着飾って故郷へ帰る。「故郷に—・る」
錦を衣て夜行くが如し
《「史記」項羽本紀から》立身出世しても、故郷の人々に知られることなく終わってしまってはかいがないというたとえ。
にしきえ【錦絵】
多色刷りの浮世絵版画。明和2年(1765)絵師鈴木春信を中心に彫り師や摺 (す) り師が協力して創始した、錦のように精緻 (せいち) で美しい版画。浮世絵の代名詞ともなった。江戸絵。東 (あずま) 錦絵。→浮世絵
にしきえび【錦海老】
イセエビ科の甲殻類。浅海にすみ、イセエビに似るが大きく、体長約50センチ。体色は褐色に白斑があり、脚は白に紫褐色の横縞がある。三重県以南に分布。食用。
にしきがい【錦貝】
イタヤガイ科の二枚貝。海岸の岩に付着し、殻長約4センチ。アズマニシキガイに似るが、殻表に鱗片 (りんぺん) 状の突起の並ぶ太い放射状の肋 (ろく) がある。色は白・褐色・紅色などさまざま。本州中部以南に分布。みやこがい。
にしきがま【錦窯】
⇒きんがま(錦窯)
にしきがわ【錦革】
織物の錦に似せて文様を染め出した鹿革。
にしきぎ【錦木】
1 ニシキギ科の落葉低木。山野に自生。枝にコルク質の翼が四方につき、葉は楕円形で、秋に紅葉する。5月ごろ、黄緑色の小花が咲き、実は赤く熟す。庭木にされ、枝に翼のないものをコマユミという。ニシキギ科にはマユミ・マサキなども含まれ、種子に鮮やかな色の仮種皮をもつものが多い。《季 秋 花=夏》「われ稀に来て—を立去らず/夜半」 2 5色に彩った約30センチくらいの木。昔、奥州で、男が恋する女に会おうとするとき、女の家の前にこれを立て、女に迎え入れる心があれば取り入れ、取り入れなければ、男はさらに繰り返し、千本を限度として通ったという。「思ひかね今日立て初むる—の千束も待たであふよしもがな」〈詞花・恋上〉 [補説]書名別項。→錦木
にしきぐさ【錦草】
1 紅葉 (もみじ) のこと。 2 ニシキソウの別名。
にしきごい【錦鯉】
コイの色変わり種をもとに日本で改良された品種。色彩・斑紋はきわめて多様。色鯉。花鯉。変わり鯉。《季 夏》