・・・ と思い、互に団結して資本家地主にぶつかって来ないよう、陰険な仲間割れをさせておいたのです。 女も男と並んでソヴェト権力へ さて、余りの搾取に、ロシアのプロレタリアート・農民も、そろそろ目がさめて来た。地主、資・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・昔の女らしく、一種の陰険さもあり、見識がないから下らない気兼苦労をする人であった。私は、彼女の総てに朗々としないのが大嫌いであった。妙なことに拘わって、忍耐強い性格のまま執念くやられると、私は憎しみさえ感じた。そして、怒った。怒りながら、私・・・ 宮本百合子 「祖母のために」
・・・に不当な解散をくわせたりして、よくわけの分らない大衆の目に日本プロレタリア文化連盟というところをいかにもこわいところででもあるかのように思い込ませようとする、ブルジョア・地主の官憲の陰険極まるてなのです。真実われら働く者の味方となり、わたし・・・ 宮本百合子 「日本プロレタリア文化連盟『働く婦人』を守れ!」
・・・ 吉田内閣のやりかたは下山事件、三鷹事件、どれをみても裏面工作、小細工陰険で、新聞デマは極度に使用されている。手口がそろそろ見えてきた。吉田首相は政府自身の工作で「国内不安」を挑発し、そのデマ記事を世界に流して国際反動の力を動員しようと・・・ 宮本百合子 「犯人」
・・・弟は陰険奸悪な陰謀者である。彼は一人で室内を行きつ戻りつしながら、古典劇らしく自身の悪計を独白しているのですが、例の舞台の上に落っこって目の前で燃えているローソクには全く目もくれない。その前まで行って足でさわりそうになって、しかもそのローソ・・・ 宮本百合子 「一つの感想」
・・・けれども、どうか自分の心持に丈は、もう少し寛大であって欲しい、陰険でなくなって呉れ、と願んだのである。 Aは、それは、余り、私が彼の気持を察しないことであると云った。 自分は、米国から帰る時、父や母に対してどんな心持を抱いて来たか。・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・われらは、不意に、陰険に、不条理に短期間、あるいは長期間自由を奪われる。林は、二年の間、そのようにプログラムをもって読書してもなおかつレーニニズム的発展は十分なし得ないような書籍しか自身に許可しなかった支配階級に対して、かつて一度の憤りをも・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・いまなお彼らの陰険な手は私のまわりから去っていません。けれども、みなさん! わたしたちの決意こそ、わたしたちが知っている。日本プロレタリア文化連盟をわたしらの手で守りましょう。未来を建設するプロレタリア文化の燈台の火をわたしらの手でこそ守り・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
・・・その必要から、自分の娘たちの身辺を飾り宮廷社会の陰険な競争に対してよく備え暗黙の外交的影響と文化の力で、娘の勢力を確保するために才智の優れた、性格にも特色のある婦人達を官女として集め、宮中の人気を集注し、社交的なあらゆる場面で勝利を占めよう・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫