・・・今日の実習は陸稲播きで面白かった。みんなで二うねずつやるのだ。ぼくは杭を借りて来て定規をあてて播いた。種子が間隔を正しくまっすぐになった時はうれしかった。いまに芽を出せばその通り青く見えるんだ。学校の田のなかにはきっとひばりの巣が三つ四・・・ 宮沢賢治 「或る農学生の日誌」
・・・農民一(登場 枯れた陸稲「稲の伯楽づのぁ、こっちだべすか。」爾薩待「はあ、そうです。」農民一「陸稲のごとでもわがるべすか。」爾薩待「ああ、わかります。私は植物一切の医者ですから。」農民一「はあ、おりゃの陸稲ぁ、さっぱりお・・・ 宮沢賢治 「植物医師」
・・・ まわりの手入れの行届いた畑には、薯、菜、大根、黍、陸稲なんかが育ってる。部落組合員は、経済恐慌と闘争の激化につれて「闘いのための生産へ!」というスローガンで市場へ売り出す白菜や南京豆の代りに、こういうものを作りはじめたんだ。 ・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
出典:青空文庫