・・・ 二 雅楽 友人の紹介によって、始めて雅楽の演奏というものを見聞する機会を得た。 それは美しい秋晴の日であったが、ちょうど招魂社の祭礼か何かの当日で、牛込見附のあたりも人出が多く、何となしにうららかに賑わってい・・・ 寺田寅彦 「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・そのとき出された日本音楽からのという条件つきのテーマは、雅楽からのハーモニイであった。 今日の日本の文学の動きと密接なつながりをもって、古典研究が取上げられはじめたのは、特にこの二三年に目立って来た現象である。号令をかけて馬にのる人々も・・・ 宮本百合子 「文学上の復古的提唱に対して」
播磨国飾東郡姫路の城主酒井雅楽頭忠実の上邸は、江戸城の大手向左角にあった。そこの金部屋には、いつも侍が二人ずつ泊ることになっていた。然るに天保四年癸巳の歳十二月二十六日の卯の刻過の事である。当年五十五歳になる、大金奉行山本・・・ 森鴎外 「護持院原の敵討」
出典:青空文庫