・・・「集会はいつもここでやるんです」 通りぬけた先が男の子たちの寝室です。こっちも仲々キチンと片づいています。が、面倒くさそうに突っこまれた枕が毛布の下から半分はみ出ている寝台もある。子供たちはそれを見ていろんな冗談を云い、笑う。 ・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・ 夜、工場クラブで集会が終ったところだ。休憩室へみんながぞろぞろとあふれ出し、或る者は隅のテーブルで茶を飲みはじめる。それに混って、ボルティーコフも出て来た。彼はコレクティーブの秘書ソモフの踵へくっついて歩きながら頻りにぐずぐず云ってい・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・工場の文学研究会がこの集会で再組織をしようとしていることも大いにいい。 やっぱり、党大会後のことだ。 ソヴェト・プロレタリア大衆の間に、「プロレタリア作家に対する師匠役」という動員が行われた。 五箇年計画と資本主義世界の行きづま・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・ところが、僅か二年ばかりで一時的なその寛大な方法は急に反対の方向に働き出し、一八四九年からケーニヒスベルクの町だけでも何百回となく集会が禁止され、教会や学校が閉鎖され、国外へ追放される人たちが生じた。 自由宗教の牧師であったユリウス・ル・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・憲法発布の翌年一八九〇年、大井幸子が自由党に加入することを警察が禁止し、「集会政社法」は、婦人が政治に関する演説を傍聴することさえ感じた。女学校令というものが出来て、女子教育の普及を計ると云われたのは一八九九年のことであるが、その次の年政府・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・ 彼は、労働者の集会に列席し、職場大会に出席し、ときには大通りの「茶飲所」やビヤホールの群集の中にまじりこんで、一般労働者の仲間の雑談をもきく。そして、彼の見聞を記録するとしても、その作家が、ソヴェト・フォード工場の建てられた社会的意義・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ グランド・ピアノの置いてある、プラカートと棕梠の鉢で飾られた集会の広間がある。奥の空室で年かさのピオニェール少女が二人、色紙を切りぬいてボールへはりつけ、何か飾ものをこしらえていた。 ――モスクワは御承知の住宅難で、多くの子供は学・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・祭を期して一大国民運動をおこして特に国体明徴、日本精神の昂揚、個人主義、自由主義、功利主義、唯物主義の打破等精神総動員の趣旨の徹底をはかり学生、生徒、児童等には愛国行進その他団体運動を行わせ、これらの集会、行進等に際しては今回選定された愛国・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・子供に交って遊んだ初から大人になって社交上尊卑種々の集会に出て行くようになった後まで、どんなに感興の湧き立った時も、僕はその渦巻に身を投じて、心から楽んだことがない。僕は人生の活劇の舞台にいたことはあっても、役らしい役をしたことがない。高が・・・ 森鴎外 「百物語」
・・・この海軍将校の集会所へ這入るのは、梶には初めてであった。どこの煙筒からも煙の出ないころだったが、ここの高い煙筒だけ一本濛濛と煙を噴き上げていた。携帯品預所の台の上へ短剣を脱して出した栖方は、剣の柄のところに菊の紋の彫られていることを梶に云っ・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫