・・・夫と妻の財産に対する権利の平等、刑法上で婦人にばかり姦通罪がきびしかった点も改正され、離婚に対する権利の平等、母親の子供に対する親権も父親と等しいものに認められるようになってきている。これは日本でつくられた憲法、民法、刑法上での大革命である・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・同十三年離婚。長篇「伸子」を三年に亙って執筆。昭和二年――五年モスクその他旅行。昭和七年一月結婚。著書、「貧しき人々の群」「一つの芽生」「伸子」「新しきシベリアを横切る」「冬を越す蕾」「昼夜随筆」「乳房」現代日本文学全集中「中條百合子集」文・・・ 宮本百合子 「「現代百婦人録」問合せに答えて」
是非を超えた最後の手段として離婚は認めなければなりません。内外的原因によって過った結婚をし人間としてその異性との生活が、救済の余地無い程の破綻を生じた場合、より以上の不正、人格的堕落を防止する為には、強制的、又相互的離婚を・・・ 宮本百合子 「心ひとつ」
・・・民法が改正され、結婚の自由、離婚の自由が認められようとしていますが、現実の社会に、母と子の生存を守るしっかりした施設が一つもなければ、真面目な意味での結婚にも、さけがたい理由をもった正当な離婚にも、自由ということはなりたちません。子供の生活・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・ 女の中に予期された母性の経済的独立を保証する為、離婚法は、女に職業能力がない場合、一年間生活保証すべき義務を夫に示している。 合法的人工流産は、これ等数種の積極的条件の最後にあって、母性の擁護と秘密な罪悪の防止に役立てられている。・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 日本にもやかましく云われる、法律的な離婚問題、離婚と云う事は、この事自身既に充分悲劇的でございます。が、其等の原因が、彼等二人の真の生活を破壊するものである時は、法律的離婚は已を得ない事でございましょう。より善き、より純一な相互の生活・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・つまりその人と離婚したとき、女の子供と男の子供がいたので、子供たちをどっちで育てるか協議したわけですが、男の子は僕はお母さんと暮したいといい、女の子は私はお父さんと暮したいといったので、別れた夫の方へ娘が行って、お母さんの方へ息子がついて来・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・アンナがカレーニンと離婚することが出来なかった原因はいくつかあるが、その一つは、うたがいもなく可愛い息子セリョージャを全くカレーニンにうばわれてしまう苦痛に堪えないからであると描かれていた。トルストイが「アンナ・カレーニナ」を書いたのは四十・・・ 宮本百合子 「ジャンの物語」
・・・ ――女は結婚や離婚の自由をもってるんでしょうか? 誰かが小さい声で、 ――あすこじゃ、籠に入れて女の子を売るんだって……といった。 ――八つで結婚させるって。 クズニェツォーが声のした方を見た。そして訂正した。・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・婦人にとって重大なかかわりをもつ結婚、離婚、親権、財産権などの条項が変更される。親、戸主の権威が不幸の原因とさえなっていた結婚というものは、当事者である男女の互の意志によってとりきめられ、互の協力によって維持されるべきものとなろうとしている・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
出典:青空文庫