・・・ この食べもの調査は相当こまかに分類もして調べられているのだが、家庭の主婦についての調査項目がなかったのは何故だったのだろう。家庭の主婦の心労や骨折や或は無智が、職工さんのお弁当の量は多くて質の足りない組合わせを結果して来てもいるだろう・・・ 宮本百合子 「「うどんくい」」
・・・を土台として、それぞれの項目について私たちの身近にある種々の科学の本を思い出し、いくらかまとめて整理し、感想をもそれにつけ加えてゆくという方法である。つまり私たちが知識を愛し、それを身につけ、自分やひとの生活をゆたかにして何かの意味で人間の・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・ 十一月号の『漁村』には、各県の漁業の合理化の方策がのせられていて、婦人に関する項目として、陸上の仕事はなるたけ婦人にさせること、日常生活の合理化を教え、衛生、育児の知識を授けること、女子漁民道場をこしらえて漁村婦女の先駆者たらしめるこ・・・ 宮本百合子 「漁村の婦人の生活」
・・・ 特徴的に狭い額に、深い横皺のある賤しい顔つきをした男は警視庁と印刷のしてあるケイ紙を出し、そこへ、 赤旗 共青 資金関係 そんな風な項目を書き並べた。「サア、いつから赤旗を読んでる!」 自分はそういうもの・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・主義の項目を如何ほど暗記しようとしても、それの中心たる、これでこそ生きているという終極の安心は得られないでしょう。その時その女性は、本当に自分の道を見出す必要に迫られて来るのです。自分の安心立命の出来るものを発見しようとした時、初めて時代と・・・ 宮本百合子 「今日の女流作家と時代との交渉を論ず」
・・・ 十五日に共同正犯を主張した竹内被告の自供手記を大々的にあつかった読売新聞は、この日の公判状況をきわめて簡単に扱い、かつ、竹内被告の陳述のはじめにいわれた言葉で他の大多数の新聞は記録している一つの項目――民同や共産党の煽動によるものでな・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ 以上の項目の若干についてある程度の訂正もされたようですが、とりあえず全体としてかんたんに事実をあきらかにいたします。一 私の作品が大衆にどの程度よまれているかいないかということは、出版統計や職場の図書部や文学サークル、図書館その他・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・アカハタの読者から集めた批判の欄に、主観的な誇張のない記事をのせてくれという一項目がありました。このことは、日本の人民が三年間の闘いを通じて現実の複雑さに対してリアリスティックな成長を遂げてきたことの証拠です。職場の通信員であった人の中から・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・ 現実の生活環境から超絶したものの観かた、感じかたは出来ないのであるから、国際ペンクラブの大会で討論されたというの一項目をしげしげと眺め入って、そこに今日の日本文化人の渇望がいかにはげしく照りかえしているかという事実、同時に実際上の困難・・・ 宮本百合子 「ペンクラブのパリ大会」
・・・かたい表紙をあけてみると、教育という見出しで遺伝についての記事、胎教についての項目、フレーベル氏及幼稚園というような記事の頁が克明に書きこまれている。 インクで書かれたそれらの字は歳月を経てもう今日ではぼんやりとした茶色に変っている。明・・・ 宮本百合子 「本棚」
出典:青空文庫