・・・とあっても、生活安定のための勤労報酬のこと、休養の権利、失業の保険、養老の保険、現在のような生産手段の独専所有にたいする制限のないことも手落ちであるし、男女平等という、婦人の心につよく訴える規定のなかに、社会的平等の地盤となる同一労働に対す・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・とも云い得るかのようであるが、実際には帝国芸術院が出来ると一緒に忽ち養老院、廃兵院という下馬評が常識のために根をすえてしまった。「新日本文化の会」が出来た。「中央文化連盟」が出来た。そういう記事報道を読む一般人の表情には、無関心か軽蔑か憎悪・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
・・・「母親は丘を越えて養老院へはいることじゃなくて、もっと大事な丘を越えなくちゃいけない」「女には二つの出産がある。肉体的の出産ともう一つの出産が。肉体的の出産によって女は母になる。そしてもう一つの出産によって母親は人間になるのだ。」允子はそれ・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・宗教団体、養老院、盲唖院、皇后が保護者となっている馬の休養所まで等しく「熱心に」「火急に」寄附を求めている。 ミス・エラリン・メイシーは社会組織のひびから発するこの!《エクスクラメーション》を事務家的才能で把握し婦人雑誌に写真ののる成功・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・六十歳までよく働けば養老保険さえ出るから、安心して職務につくせる。 女の幸福、子供の幸福のためには、例えば到るところに託児所がある。幼稚園がある。無料でごくヤスい金であずかってくれる。 大本教の兄さんが云われるように、何も女は子供の・・・ 宮本百合子 「「我らの誌上相談」」
出典:青空文庫