・・・に似ていると思った。編輯後記を見たら、旧作「濃淡」に骨子を得云々とあり、作者もそのことを附記されている。 旧作が生憎手元にないので比較して作者の新たな意企や技術の上での試みを学ぶことが出来ないのは残念である。「新胎」について技術的な面で・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・人生におけるこの味いかた、この田舎っぺえさが藤村にあっては骨子をなしている。 私は、何だか藤村においては都会の小市民的なものの底から根づよい中農性ががんばり、顔を出しているように思います。どうかしら。それが彼の根本的の押しとなって生存せ・・・ 宮本百合子 「「夜明け前」についての私信」
・・・そして、今日わたしたちにもたらされている不幸は、それからのち文芸評論の仕事を志し、プロレタリア文学理論を学んだ少からぬ人々が、その骨子を歪められた批判的プロレタリア文学運動史を土台にし、暴力に対して膝頭をかがめた階級文学の諸理論のなかをひき・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・けれども、文学の作品という点からいえばどれもほとんど小説の骨子を物語っているにすぎない。 古い文学のポーズをまねたり作者の真実でない感情や心理をかりて来たりしていないところがこれらの作品の新しい力である。作者たちは、これらの作品の土台に・・・ 宮本百合子 「『労働戦線』小説選後評」
出典:青空文庫