・・・たとえば、私が鮓を食うときにその箸にかび臭いにおいがあると、きっと屋形船に乗って高知の浦戸湾に浮かんでいる自分を連想する。もちろんこれは昔そういう場所でそういう箸で鮓を食った事があるには相違ないが、何ゆえにそういう一見些細なことがそれほど強・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
自分の出生地は高知県で、始め中学の入学試験に応じたのは十四の年、ちょうど高等三年生の時であった。その中学というのは今の高知県立第一中学である。日ごろからだがあまり健康のほうではなく、それに勉強もろくろくせなかったためだろう・・・ 寺田寅彦 「わが中学時代の勉強法」
・・・ 明治二十年一月中旬高知 中江篤介 撰 中江兆民 「将来の日本」
・・・然し、大阪、高知、長野等拡大中央委員会にわざわざ代表が出席した程比較的強力な支部からの報告でさえ、その中には一言も、支部に於ける婦人委員会の問題、婦人大衆に対する文学的働きかけについての対策というものは言及されていなかった。 これは作家・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・四国の高知で、争議した小娘たちを殺すぞ、とおどかしたのは総同盟の男たちであった。〔一九四七年六月〕 宮本百合子 「その檻をひらけ」
出典:青空文庫