・・・作家石川達三は、文学者の戦争協力についての責任が追及されたとき、日本がもしふたたびあやまちを犯すことがあれば、自分もまたあやまちを犯すだろうと公言した作家であった。石川達三という人のこころのなかで、そのことばとこのことばとのあいだには、どう・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・どんな罪でも犯す。彼女の身は彼の如何なる暗黒な意にも委せると云う意志を読んだような気がした。」此の心持を逆に自分は経験するのだ。 決して、理知は暗黒な意力、或は暴威を、互の為に許しはしないのだ。が、或瞬間、情熱の爆発は、其の忘我まで自分・・・ 宮本百合子 「結婚問題に就て考慮する迄」
・・・ そして 彼女の三日と三月との間にリスクを犯すであろう。 日本女の胆嚢は計らず一つの問題を、СССРの社会衛生に向ってなげ与えた。仮令先について居るたまが金むくであろうとも、二米のゴム管を十二指腸へ送り込む芸当は優美にして 快適・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・『文学界』の人々は、もっとも戦争中戦争遂行に協力した人々の一群であるし、このごろさかんに執筆している石川達三氏は戦時中の協力に対して、日本がふたたびあやまちを犯せば自分もまたふたたび犯すであろうという意味を雑誌の上に明言しています。石川達三・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・ その点での誤謬を冒すことは非常に減って居り、その点ははっきりして居る。 フランスでは要するにブルジョア機構内で女が自分の性をどうしたら最も功利的に利用出来るかと考えている。 だからフランスの女権拡張運動というものはどういう状態・・・ 宮本百合子 「ソヴェトに於ける「恋愛の自由」に就て」
・・・その点での誤謬を冒すことは非常に減っており、その点ははっきりしている。 フランスでは要するにブルジョア機構内で女が自分の性をどうしたら最も功利的に利用出来るかと考えている。だからフランスの女権拡張運動というものはどういう状態にあるかとい・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・或る男が破廉恥な罪悪を犯す。その善行なり、悪行なりの素因を万人は彼等の心事に見出そうとするように、私共が、或る国民の生活を観察する場合、漠然となりとも正鵠を得た、民族的気質を知らなければいけないと思うのです。 それなら、米国人は、どんな・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・のだし、追求されたそれぞれの文学者たちがまた一向本質的な痛痒を感じないで、武者小路実篤のように平気で、その平気さをブルジョア文壇から公認されているか、さもなければ石川達三のように日本が又再びあやまちを犯すことがあれば、自分もそのあやまちをく・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・それは、文学が絶対に文字を使用しなければならぬと云う、此の犯すべからざる宿命によって、「文字の表現」の一語で良い。これは、いかなるものと雖も認めるであろう。 しかしながら、その次に何物よりも、われわれの最もより多く共通した問題となる・・・ 横光利一 「新感覚派とコンミニズム文学」
・・・人を躾けるやり方についても、小さい不正の度重なる方が、まれに大きい不正を犯すよりは重大である、ということを見抜くのは、やはり算用である。大なるとがはまれであるが、小なるとがは日々に犯されるゆえに、ほっておけば習性になる。だから大きいとがは人・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫