・・・満州問題がおこって以来、婦人雑誌を読む女のひとの間に和歌と習字との流行が擡頭している事実を考え、またそのことと、今度平生文相が行おうとしている学制改革案で男の学生には「労働証」女の学生には「家政証」を制定することとを思いあわせ、私は自分もひ・・・ 宮本百合子 「歌集『集団行進』に寄せて」
・・・ その人々に多く読まれる少女小説を改革すると云う事は今のだれでもが考える事に違いありません。 どうしたって今の様な涙っぽい物語りはやめなければなりません。 希臘神話的なそして又その中の人物の感情をさっぱりと単純にしたものを入れて・・・ 宮本百合子 「現今の少女小説について」
・・・この頃の日本の交通機関のおそろしい混乱と、そこで敢闘する婦人たちの姿をみたとき、こう迄がんばる日本の婦人が、やがてこの混乱の根本を改革するエネルギーとして自身を見出し、又その方向に真摯な努力をつづける偽りない自身の政党を選別するときが来るこ・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・ いずれも、我が文学界に大なる改革の行われる導火線であった日露戦争前に栄えて空しくなられたのであるから、日露戦争以後に起った文学――哲学的な、宗教的な、自箇の思想、箇人性を発揮し様とする文学を見る機会が少なかった、――或はまるでなかった・・・ 宮本百合子 「紅葉山人と一葉女史」
・・・そして、緻密な理論的考察と、自由な心の持つ新鮮な覇気とは、アメリカを毒す、余りに群衆的な輿論から毅然として、彼女の道をよき改革へ進めますでしょう。 斯ういう婦人の裡には、真個に跪拝すべきよき力が漲って居ると思います。時には、うんざりさせ・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・それらの作家たちは、日本の今日の階級社会の生活が現実として彼らにも与えている苦悩、不安、社会的根源をついてそれを芸術化し、作家としての彼らの生活までを改革の方向に向わせるような実践的な努力はせず、不安の文学の手本をフランスに求めた。そして、・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・これは直に改革して世界プロレタリア文学の事実上の指導機関たらしめねばならない。」 国際局と外国プロレタリア作家団との連絡の問題について、報告後の討論に際し最も多くを訴えたのはアメリカ、フランス、チェッコ・スローック、フィンランド及びアラ・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・殊に、零点の置きどころを改革するというような、いわば、既成の仮設や単一性を抹殺していく無謀さには、今さら誰も応じるわけにはいくまいと思われる。しかし、すでに、それだけでも栖方の発想には天才の資格があった。二十一歳の青年で、零の置きどころに意・・・ 横光利一 「微笑」
・・・大きい根を尊重することを知らない経営者の下にあっては、いかなる制度の改革も、ついに五十歩百歩に過ぎないだろう。七 教養は培養である。それが有効であるためには、まず生活の大地に食い入ろうとする根がなくてはならぬ。 人々はあ・・・ 和辻哲郎 「樹の根」
・・・をついだように、彼らの作品中に混在している。このようなことは彼らの内生の幼稚をほかにして解釈のしようがない。彼らは「自己」を改革する代わりに、二三の新しいことを自己にくっつけようとする。生まれ変わる代わりに、竹べらで自分の顔の造作を造り変え・・・ 和辻哲郎 「「自然」を深めよ」
出典:青空文庫