・・・に対して、その作品がプロレタリア的観点からの著しい背離の傾向を以て書かれていることを指摘した点は、正鵠を得ている。両者の批評に際して、これらを決定的な非プロレタリア的作品としてしまっている点が誤りである。「樹のない村」についていうと、作・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ ソヴェトで、オペラは、過去からの遺産というはっきりした観点から扱われている。ソヴェトの新しい音楽家は、その大きな遺産をどう利用し、社会主義的な社会の感覚にふさわしい新形式へ進めるかという点で、大きな課題を与えられているわけなのだ。・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・この観点から、シェクスピアの喜劇「じゃじゃ馬馴し」は極めて愉快で強壮なモラルを語っている。人間・社会関係のあらゆる場合について。〔一九四八年二月〕 宮本百合子 「デスデモーナのハンカチーフ」
・・・「『弁証法的唯物論は党の世界観であり』、それは最高の観点であるから、社会の隅々までをも一番正しく見得る立場である」と。 宮島新三郎板垣鷹穂などは、同志小林の殉難を惜しみつつ、同志小林がその活動を文学的活動の範囲に止めておかなかったことを・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・そのようないわば勘定高い民主主義者が、文化・文学の領域の問題となるとどうして全線的な観点から計量しようとする熱心をそこなわれるのでしょうか。ここに一人の民主主義作家があって、現にその作品は数万、十数万という広い人々の間に読まれている時、そし・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・著者はこの三百二十余頁の小冊子の中に、人間の能動的意志としての歴史を科学的に叙述しようと努力しているばかりでなく、それを「新しいヒューマニズムの観点からの叙述」とし、読者の知識慾に答えると共に人類の営々たる進歩のための努力、献身への共感を呼・・・ 宮本百合子 「新島繁著『社会運動思想史』書評」
・・・をもっと社会的な観点から批評し得るようになりました。今そろそろ書きはじめた長篇で、私は「伸子」の持たなかった客観的な眼で歴史の或る時期と幾つかの社会層の人間の心持、その相互的な関係を描き出したいと思っています。〔一九三七年五月〕・・・ 宮本百合子 「「伸子」について」
・・・ルジョア封建的教育によって文化水準をおくらされている未組織婦人大衆を吸収するために欠くべからざる条件としての、いきいきした、親密な階級的日常性、わかり易さ、内容の生活的な多様を、同時に最も正確な階級的観点によって現在資本主義日本に起りつつあ・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・そういう観点からとりあげられて来るのだ。 だから、各国の階級闘争が国際的連帯を緊密にするにつれて、文化活動の国際性もこの頃ますます拡大されて来た。 文学活動上の種々の問題、例えば創作の唯物弁証法的方法という問題にしろ、プロレタリア文・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・という論文は、徳永の近頃の勉強が明らかに反映されている点、および歴史小説をいかに書くかというひろい観点から「青年」を問題としている点など、興味あるものであった。「当面した現実の階級闘争の必要性を歴史小説において取上げることはブルジョア陣・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
出典:青空文庫