・・・ ――革命の規律! 革命の規律を守れ ――タワーリシチ! 俺たちプロレタリアート・ボルシェヴィキーが盗人でも乞食でもないことを見せてやれ! 赤布を平服の腕へ巻つけた労働者赤衛兵はピストルを片手に、冬宮を引揚げる時全同志の身体検査・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・「われわれの規律は、ただあの非無産階級的な、革命を妨害するものどもを束縛するだけで、それはちょうど游泳術が游泳する人にたいして、ただ彼が溺死しないように束縛するだけであるのと同じ」である、と。 最後に、ジダーノフの報告のうちに、警告とし・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・の功績は、著者バッハオーフェンが自身の神秘的な観念に制約されつつも、熱心にギリシア、ローマ等の古典文学を跋渉し、章句を引用し、彼以前には、全く空白に等しかった先史の分野に、一夫一婦制以前の社会が単に無規律性交の行われていた原始状態であったの・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・私のみならずおそらくプロレタリア文学運動を真に守ろうとする大衆諸君は、このような態度を、やはり一つの不規律と見るであろうと思う。何故ならば、われわれの共通な敵は一つであり、それに向って立てられるわれらの戦列は、常に可能な限りの発展的伸縮性に・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・でっぷり太った角がりでチョビ髭を生やした河野が詰襟服姿で起立し、要求書の両端を押えて山下局長へ向ってひろげている場面である。重い空気がマグネシュームをたいてとられた写真の面に感じられるが、その雰囲気は率直に殺気立つものとは違った、寧ろ大変大・・・ 宮本百合子 「電車の見えない電車通り」
・・・家の中で非常に親しくしている仲であっても、公共の場所では慇懃な態度をとれとか、召使は客人の前では厳密に規律を守らせ、人目のない時にいたわってやれとか、というような公私の区別も、彼にとって算用であった。人を躾けるやり方についても、小さい不正の・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・群集の規律ある動作によって起こる劇的効果。堂内の空気はますます緊張を加えて行く。一瞬間深い沈黙と静止が起こる。突如として鋭い金属の響きが堂内を貫ぬき通るように響く。美しい高い女高音に近い声が、その響きにからみついて緩やかな独唱を始める。やが・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
出典:青空文庫