・・・アメリカの文化がより幸福なものとなるためにはやっぱりこの点を検討してみなければならないでしょう。〔一九四九年十一月〕 宮本百合子 「アメリカ文化の問題」
・・・の実生活が内包する革命性の豊富さに対するオルグとしての自己の実践の貧弱さ、誤謬はそれなりに飛び越えてしまっている。きわめて非マルキシスト的な態度である。「樹のない村」の検討において特に作家とオルグ的活動についての分裂的認識の点を強調した・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・何でお呼びになるのか、一向見当がつきません。けれども、何も悪い事をした覚えのない芳子さんは、ちっとも不思議にも、厭にも思いませんでした。 芳子さんはお包みが出来ると、政子さんに、「お先にお帰りなさい」と云って教員室へ入って行きました。・・・ 宮本百合子 「いとこ同志」
・・・火野にあってはただ一つその感銘を追求し、人間の生命というものの尊厳にたって事態を検討してみるだけでさえ、彼の人間および作家としての後半生は、今日のごときものとならなかったであろう。人間としての不正直さのためか、意識した悪よりも悪い弱さのため・・・ 宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
・・・ 校長だの教師だの団体の指導者だのというひとは、当分の流行に対してよく吟味検討してみる必要がある。自分たちの思いつきに対してひろい実際の視野から再考してみる必要がある。対外的の意味で何かやらなければならないという場合、とりつきやすいのは・・・ 宮本百合子 「女の行進」
・・・大きく暗くおそろしい嵐がすぎて空ににおやかな虹のかかったとき、再び顔と顔とを見合わせた男女が、互の健闘を慶び、生きていることをよろこび、そのよろこばしさにひとしお愛を燃えたたせる姿がある。すがすがしい一種の革命的リリシズムがある。「風知草」・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・の再検討によって。フランスはカソッリク的な純潔の現実的な定義に関して。 ゴールスワアジーの小説に「聖者の道行」という小説がある。第一次大戦の前後に書かれた作品で、イギリスの人たちが、十九世紀からもちつづけて来た家庭、結婚についての形式的・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
「現代日本小説大系」が刊行される意味は、ただ日本の近代文学をもう一遍よみかえし、検討し、将来の文学に寄与するという風な、すべてのこれまでの刊行会の挨拶の範囲では、使命が果されないと思う。これはまじめに日本の社会の推移を基礎に・・・ 宮本百合子 「「現代日本小説大系」刊行委員会への希望」
・・・この大会で民主的な文学作品について報告する責任をもった佐多稲子は、小説部会の評価が各作品について全く対立的である場合が多い、評論部会は、民主的文学の評価の基準について検討をするように、と要求した。評論部会はそれを課題としたわけであったが、様・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
・・・第三者は、それらの検討や分析やらを見て、ああ何と熱心にいじられている事だろう! けれども、ここに幸福の輝きは溢れていないと、更に一層ゆくえさだかならぬ自身の幸福への模索に踏み出すのである。 人間の文明がおさなければおさないほど、自然界と・・・ 宮本百合子 「幸福の感覚」
出典:青空文庫