・・・この種の問題が、ここで扱われているような場合に――食糧問題は、台所やりくりではなくて、男も女もひっくるめた全人民の生存のための問題であり、女子労働の悪条件と悲劇的な女子失業の現象は、とりも直さず全勤労人口の問題であるとして捉えられたとき――・・・ 宮本百合子 「合図の旗」
・・・産業の合理化で男の労働者数は減少して行っている時になお、女の数は少しずつながら増大の線をたどって来ていることは女の労力が男に代り得て、しかもやすいという事実を雄弁に語っているのではなくて、何であろう。 女の性の自然と社会事情から必然とさ・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・ СССРで一九二六年に五千七十七万千九百九十七人あった文盲者が一九三〇年には既に四千三百万人前後に減り、五ヵ年計画完成後は都会七パーセント、村落二〇・六パーセントまで減少するということはきわめて自然なことだ。生活そのものが、文字はパン・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・要するに文学青年どものもてあそびもので、作家は遂に文学青年目あてに技法の末技末節に拘泥した堕落におかれているのがきょうの現実である、純文芸の雑誌の経営困難も単行本の売ゆきの減少もすべてそこに原因をおいている、須くそのような文壇を解消せよと云・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・し送りこまれること、既成の作家が、客分としてではなく日常活動において企業内サークルと結合することによってこそ、文学におけるプロレタリアートのヘゲモニー・党派性は確立され、組織内における小市民性の残滓の減少によって、左右への動揺の危険から高ま・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・それだから、資本主義社会のような性の誇張というものがなくなったからと云って美は減少して居ない。 だからソヴェトに行っても決して美に対して心配する必要はない。それ故非常に朗かで、私が丸三年ソヴェトに居た間に、男と女と仕事の上のひけ目とか区・・・ 宮本百合子 「ソヴェトに於ける「恋愛の自由」に就て」
・・・それだから、つまり資本主義社会のような性の誇張というものがなくなったからと云って美は減少していない。だから決してソヴェトに行っても決して美に対して心配する必要はない。それで非常に朗かで、私が丸三年ソヴェトにいた間に、男と女と仕事の上のひけ目・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・私は、その何ものにも、彼の価値を減少させられることのない真理を、一つでも多く見出し得るように、努力し、緊張して行かなければならないのではありますまいか。 私はもう、あの人がどう云ったとか、この人がこんなことを云ったとかいう些細なことに、・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・しかしその思想が市民の根底をなす金利を減少せしめ、自由の生活を破壊に導く火を噴き上げている現在に於ては市民の思想とは如何なる種類のものであろうか。」「義理人情という世界に類例のない認識秩序の美しさ」その「生活の秩序を完成さすためには人間は意・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・人民の貯蓄は、昨年末から、大干潮のように減少しつづけた。反対に、物価は、上へ、上へと、のぼりつめて、二本の線を、もすこしのばせば、其は完全な十の字となってぶっちがうところ迄来た。モラトリアムをしくしか、政府のうつべき手はなかったのである。・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫