・・・けれども階級的な作家の一つの経験であると思って翌年一月の創刊号から三月号まで編輯した。それ以後は佐多稲子が責任者となった。即ち四月に私が検挙されたことが責任者の交替をもたらしたのであった。この年は非常に多くの紹介・啓蒙の文筆活動を行った。旅・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・王 もうとうにきりがついて居るのじゃ、わしの方はの―― 僧官の任命権を得ようとお事の致いて居るのはお事が人間である限り必ずそうも有ろう事じゃ。 又わしが御事にそれを許すまいと致いて居るのもわしが人間である限り必ずそうあるべきは・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・という相関関係を解きあかすことの出来る弁証法的唯物論の立場に立つ者、バルザックによって見てとられた未来の真の担い手に初めて与えられた歴史的な歓ばしき可能性であり、任務であると思われるのである。 斯くてバルザックは一八五〇年、ロシアの・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・この中で『働く婦人』がともかく一月に創刊第一号を発行した。『働く婦人』創刊号は、十二月二十五日前後に市場にでると間もなく発禁をくった。『働く婦人』二月号もひきつづき発禁にあった。これはブルジョア・地主の官憲が、日本プロレタリア文化運動の・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・ つまり、一人の、或いは集団となった農民、学生、労働者をとらえて、プロレタリア的観点から描写するに当って、具体的条件として在る闘争への種々の可能性、矛盾、困難、進展性を相関的にもれなく洞察し、同時にその総和としての全局面を、内国的、国際・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・作家と読者との相関のいきさつのなかに文学の動向の諸相を明らかにしてゆく現実の作用は喪われて、批評はそれを書くひとの主観の流れに応じて肆意的に自身の渦巻きを描くものとなった。批評の論理性の喪失、その随筆化ということがその頃一般の注目をひいたの・・・ 宮本百合子 「文学精神と批判精神」
・・・少くとも作者の洞察の前では、水道を切られている日蔭の町の居住者達の存在が社会的相関的に見とおされている上で、農村の蹂躙が語られるべき現代であると思う。 一つの宿題 舟橋聖一氏の「新胎」「新・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・蔵原惟人、この著の筆者などの諸論中に、方向においては正しく而も哲学と芸術との特殊性における分別においては明徹を欠いて示されていた世界観と創作方法との相関関係に就ての点、政治の優位性と芸術の特殊性との具体的・現実的究明等に関する諸問題の理解は・・・ 宮本百合子 「『文芸評論』出版について」
・・・もしテレビジョンが発達して、きょう、私たちの住んでいるところからも、労働者に溢れている世界の町々の光景をそっくりそのまま観ることが出来たら、それはどんなに壮観でしょう。旗はひるがえり、歌声は湧き、まるい地球は本当にきょうのメーデーにこそ、世・・・ 宮本百合子 「メーデーと婦人の生活」
・・・ 日本の文化と西欧の文化の接触の角度に、いつも何かの形であらわれて来ているというリアクションは、日本文学史の一つの特徴となる相貌である明治、大正の期間に、これが微妙に相関しているのみならず、現代に到って、この点はいっそう複雑化されている・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
出典:青空文庫