・・・みんなは、月の光を浴びながら、めいめいつばさをひろげて、羽ならしをしていました。そして、拍子を合わせて、二度、三度羽ばたきをしました。これから、長旅に出かける前のあいさつであります。 つぎの瞬間に、彼らは、空へ舞い上がりました。そして、・・・ 小川未明 「がん」
・・・そのために、にげかけていた鳩は、たちまち二つのつばさをまっ黒に焼きこがされてしまいました。 鳩はびっくりして、じきそばにあった高い木の先へとまりました。 そうすると長々は、たちまちするするとからだをのばして、その鳩をひょいと両手でつ・・・ 鈴木三重吉 「ぶくぶく長々火の目小僧」
・・・「あかいめだまの さそり ひろげた鷲の つばさ あおいめだまの 小いぬ、 ひかりのへびの とぐろ。 オリオンは高く うたい つゆとしもとを おとす、 アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。・・・ 宮沢賢治 「双子の星」
出典:青空文庫