・・・大抵、手書きである。漫画、写真をはったの、新聞雑誌からの切りぬきを編輯したもの。印刷の週刊工場新聞をもっているところでも、職場、職場はやっぱり手書きの壁新聞を、生産予定計画表とならべて自分の壁にかけている。『プラウダ』が刻々にうつりかわ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ 職場の新聞は、印刷の工場新聞をもっている工場でも各職場職場が手書きの壁新聞の型で発行している。五時間毎にかわる。これは、ほんとに職場の新聞で、職場の日常的なあらゆる感想、自己批判を、洒落ででも、滑稽な色紙の切抜きをはりつけてでも、新聞・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・デレンコフのところには一種の図書館があり、そこには貴重な文献、手書きで写した本などが蒐集されていた。カザン市のあらゆる段階の進歩的見解の持主がこの穢い崖上の一点へ向って出入した。明るい色の髯の中に善良な顔と賢い眼とをもった瘠せた手のアンドレ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ 絵入りの手書壁新聞が貼られている。幾列も並んでいる長い卓子の一隅で、若い看護婦が帳面に何か書いている。われわれが入って行った時、一寸頭をあげて見たきり、邪魔されず、落付いて書きつづけている。――「クララ・ツェトキンの名による産院」・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
出典:青空文庫