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・・・翰は平生手紙をかくにも、むずかしい漢文を用いて、同輩を困らせては喜んでいたが、それは他日大にわたしを裨益する所となった。わたしは西洋文学の研究に倦んだ折々、目を支那文学に移し、殊に清初詩家の随筆書牘なぞを読もうとした時、さほどに苦しまずして・・・
永井荷風
「梅雨晴」
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・・・金穀の会計より掃除・取次にいたるまで、生徒、読書のかたわらにこれを勤め、教授の権も出納の権も、読書社中の一手にこれをとるがゆえに、社中おのおの自家の思をなし、おのおの自からその裨益を謀て、会計に心を用うること深切なり。その得、二なり。一・・・
福沢諭吉
「学校の説」