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・・・観察をすると有効な場合はあるが、観察したことのために相手が変化をしてしまうので、もう自然な姿は見られない。殊に何ものよりも一番大切な人の顔がそうである。誰からも尊敬されているような人物よりも、誰からも軽蔑されている人物の方が正確に人をよく見・・・
横光利一
「作家の生活」
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・・・運命が自分をいかに変化しようとも自分が他人になる事は決してありますまい。私の個性は性格は私の宿命です。どういう樹になるかは知らないが、芽はすでに出ているのです、伸びつつあるのです。芽の内に花や実の想像はつかないとしても、その花や実がすでに今・・・
和辻哲郎
「ある思想家の手紙」