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一 偶像破壊が生活の進展に欠くべからざるものであることは今さら繰り返すまでもない。生命の流動はただこの道によってのみ保持せらる。我らが無意識の内に不断に築きつつある偶像は、注意深い努力によって、また不断に破壊せられねばならぬ。・・・
和辻哲郎
「『偶像再興』序言」
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・・・として心と心とを触れ合わせるというような状態になると、個性はその特殊を厳密に保持しながら相互に融け合い、争闘は我の偏狭を脱して人性進化のために愛の光の内に行われる。偉大なる者への屈従は歓喜を以て迎えられ、弱小を征服することは大いなる愛の力を・・・
和辻哲郎
「自己の肯定と否定と」