・・・今の子供はコスモポリタンなお伽噺の洪水の波に押流されているようなものである。もしも今の少青年に民族的な精神が欠乏しているとすればその原因の一つとしては西洋お伽噺の食傷も数えられなければならないかもしれない。 重兵衛さんは性的な問題を取扱・・・ 寺田寅彦 「重兵衛さんの一家」
・・・一宮家から吉田さんの at home day に行き、コスモポリタンに行く。小崎氏が来たので、芹野さんとAと四人で Whittier に行き和田に会い、三人で、メゾンに行き、小崎と和田をのこす、青木のことを小崎からききたいだろうと思って。か・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・というものの意味をも知り彼女はインドの運動をも支持した。そして、今日、中国に働いている。単に「風とともに」というコスモポリタンとしての気分からだけ、彼女の自然で自由な国際的な感情があるのではないのである。そしてこの面での彼女は、既に「女一人・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・その上、長崎人は、鹿児島の人々などと違い、自分達の祖先の生活に流れこんだ外国文明に、郷土文化との対立や文明史的の客観を持ち難い程、心持の上でコスモポリタンになって居るのではあるまいか。生活を来るがまま、流るるがまま、都市として持つ古さの自覚・・・ 宮本百合子 「長崎の一瞥」
・・・ 橇にのっかって、別の、そこの廊下には絨毯を敷いてあるホテルへ行った。 黒田礼二がドイツから来ている。 コスモポリタンになっている黒田礼二はブルジョア・ヨーロッパの感情でクリスマスというものをハッキリ感情するらしい。 今夜ロ・・・ 宮本百合子 「モスクワの姿」
出典:青空文庫