・・・ 次には内国の政治経済産業方面に関する記事でも、大多数の国民が一日を争うて知らなければならないものがどのくらいのパーセントを占めているかを考えてみなければならない。 全くとらわれない頭で冷静に考えてみた時に、これらの記事の大部分は、・・・ 寺田寅彦 「一つの思考実験」
・・・ たくさんの袋を外からつまんで見ているうちに、中空で虫のお留守になっているのがかなり多くのパーセントを占めているのに気がついた。よく見ていると、そのようなのに限って袋の横腹に直径一ミリかそこらの小さい孔がある事を発見した。変だと思って鋏・・・ 寺田寅彦 「簔虫と蜘蛛」
・・・ 彼の腹の中では、百パーセントのアルコールよりも、「ききめ」のある、コレラ菌が暴れ廻っていた。 全速力の汽車が向う向いて走り去るように、彼はズンズン細くなった。 ベッドから、食器棚から、凸凹した床から、そこら中を、のたうち廻った・・・ 葉山嘉樹 「労働者の居ない船」
・・・外国のことばで云えば、一パーセントに負けて呉れと云うんだろう。人を馬鹿にするなよ。さあ払え。早く払え。」「だって無いんだもの。」「なきゃおれのけらいになれ。」「仕方ない。そいじゃそうして下さい。」「さあ、こっちへ来い。」との・・・ 宮沢賢治 「カイロ団長」
・・・ 蛋白質は十八ポイント五パアセント、脂肪は九ポイント三パーセント、含水炭素は一ポイント二パーセントもあるのです。鶏の肉はただこのように滋養に富むばかりでなく消化もたいへんいいのです。殊に若い鶏の肉ならば、もうほんとうに軟かでおいしいこと・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
・・・言論の自由が民主的発言にたいしても、百パーセントの実効をあたえているだろうか。減刑運動という名のもとに、日本のまちがった民族主義の思想がふたたびうごめき出し、戦争挑発が拡大するような事態を許すならば、わたしたち人民の譲歩は、度をこしている。・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・ソヴェトが五ヵ年計画で四〇〇パーセント増そうとしている農業機械のこれは現実的な見本である。 列車の窓ガラスが緑になってしまうぐらい、松ばかり。パッと展望が開いた。地平線まで密林が伐採されている。高圧線のヤグラが一定の間隔をおいてかなたへ・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・今日三百万の党員をもち中国人口の三五パーセントを解放地区に包括しつつある中共は、一九二三年に第三次党大会をもち、そのとき党員は四〇〇名であった。「古き小画」の作者は、これらのすべてについて全く知らないか、或はごく部分的に、ブルジョア新聞・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・その一冊にさらに五パーセントの取引税がかかる。子供たちに買ってやる絵本にもその五パーセントはついて来る。国会でも問題になったこのたちのわるい大衆課税は、政府としてやむをえないこととして押しきった。理由は天文学的数字の予算をまかなえないからで・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・生産経済計画を百パーセントに! はすかいにそういう字を書いた大型自動車が出てくるという仕掛だ。 デモが各々の職場で工場内の美術研究部を中心として、工夫をこらした飾りものを持ち出すばかりではない。今日赤い広場はみちがえるよ・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
出典:青空文庫